第87章

浅田美晴は視線を走らせ、廊下の少し先に立つ新谷音羽を見つけた。まるで唯一の希望に縋りつくみたいに、彼女は警官の制止を乱暴に振りほどき、なりふり構わず駆け寄ると――

「……っ」

「どさっ」と鈍い音を立てて、音羽の目の前に膝をついた。

「音羽! ごめんなさい!」

浅田美晴はみっともなく床を這うように近づき、音羽のズボンの裾に手を伸ばす。さっきまでの傲慢さも得意げな顔も、跡形もない。

「今回だけ、見逃して……お願い! もう二度としない! 私たち、同僚だったじゃない……だから、許して……!」

新谷音羽は嫌悪を隠さず、一歩引いてその手を避けた。

そして、ふっと笑う。笑みの形だけで、瞳には...

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