第88章

彼の口調は有無を言わせない。けれど、その眼差しの奥には、隠しきれない痛みと――失うかもしれないという後悔の震えが滲んでいた。

新谷音羽はそんな彼を見て、正直ちょっと怖くなる。だが同時に、これは自分のためなのだともわかっていた。

音羽は唇を尖らせ、結局は折れる。

おとなしく身を寄せ、味気ない滋養スープを一口、また一口と飲み干していった。

蒼井沢言は空になった器を確認して、ようやく表情を和らげる。

紙ナプキンを取り、口元をそっと拭ってやる手つきは、まるで稀少な宝物を扱うみたいに丁寧だった。

彼は彼女を寝かせ直し、すぐに踵を返す。

医師に状況を細かく確認しに行ったのだ。

その背中が...

ログインして続きを読む