第90章

新谷音羽は小さく首を振り、新谷理恵のことは気にするなと目で制した。かすれるほどの声で言う。

「さっき……親子鑑定、受けてきたの。結果は明日の午後に出るって」

声はひどく軽い。なのに、底の抜けた迷子みたいな絶望が滲んでいた。

「私、どうしたらいいの……沢言。もし……もし本当だったら、私って何? 私、いったい誰なの?」

蒼井沢言は彼女の手を強く握り、氷みたいに冷えた指先を掌で包み込む。

「君には俺がいる。怖がるな」

新谷音羽は唇の端をわずかに引いた。

――そうだ。

彼がいる。そうじゃないか。

翌日の午後。

新谷音羽はスマホを握りしめたまま、ほとんど一歩も動けずにいた。胸の奥が...

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