第91章

「何が面倒なんだよ」蒼井翼はふっと笑った。軽い調子なのに、言葉だけはやけに真っすぐだ。「俺たちは家族だろ。お前のことは俺のことだし、蒼井家のことでもある。叔父様は会社のことで手一杯なうえに、お前のことまで見なきゃいけない。身体がいくつあっても足りないだろ。俺は暇してるんだし、ちょうどいい。雑用くらい、いくらでも走ってやる」

飾り気のない率直さが、距離を一気に縮めた。新谷音羽の胸に残っていた「自分は外の人間だ」という薄い壁が、すっと溶けていく。

蒼井翼は蒼井沢言のほうへ向き直り、肩をぽんと叩いた。

「叔父様、目の下、真っ黒じゃん。いいから一回戻って休んで。ここは俺が見てる。叔母様のこと、...

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