第97章

蒼井沢言の言葉が落ちた瞬間、リビングは死んだような静けさに沈んだ。

一語一語が氷塊みたいに、新谷邦夫、新谷理恵、新谷浩市の胸へ叩きつけられる。頭のてっぺんから足先まで、ぞくりと冷え切っていく。

新谷邦夫は床に崩れ落ち、膝をついたまま震えが止まらなかった。

見上げた先にいるのは、手の届かない場所に立つ男。新谷音羽の背後にいる後ろ盾が、自分の一生をかけても揺るがせない存在だと、ようやく骨の髄まで理解した。

どんな算段も、どんな後悔も、どんな不満も――絶対的な力の前では、ただの滑稽に変わる。

「……わかりました。受けます」

新谷邦夫は力を抜かれたように、かすれ声で繰り返した。肩が落ち、...

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