第98章

新谷音羽は星野結月の顔から視線を外し、品川玲子へと落とした。

「……わざと私を騙してここへ連れてきたの?」

新谷音羽は彼女を見据えた。声には、感情らしい起伏がない。

その横で、星野結月は面白がって見物している。グラスの赤ワインをくるりと揺らし、甘ったるく笑った。

「新谷音羽、あんたって本当に鈍いのね。今さら気づいたの? 玲子が近づいたのは、あんたのそばにいる蒼井沢言目当てよ。まあ残念だけど、蒼井社長の目に映ってるのはあんただけ。玲子なんて、まともに見てもらえたことすらないんじゃない?」

その言葉は刃だった。

新谷音羽の胸を抉り、同時に品川玲子の心臓にも深々と突き刺さる。

品川玲...

ログインして続きを読む