第99章

蒼井沢言の視線が星野結月をかすめ、やがて彼女の背後で顔面蒼白のまま立ち尽くす品川玲子へと落ちた。薄い唇が、氷のような弧を描く。

「――で、お前だが」

淡々とした声だった。まるで取るに足らない品を値踏みするみたいに。

「彼女を利用して俺を嵌める。そんな小細工で、俺が振り向くとでも思ったか」

星野結月の顔から、血の気が一瞬で引いた。

蒼井沢言は過去のあれこれを蒸し返して言い争う気すらないらしい。軽く投げた数語だけで、星野結月の矜持を靴底で踏みにじってみせた。

それ以上は見向きもせず、蒼井沢言は新谷音羽を抱くようにして踵を返す。

嫉妬、悔しさ、屈辱――ぐちゃぐちゃに絡み合った感情に星...

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