第1章

青山光は、最も信頼していた親友と男に共謀され、殺された。

二人はロープで彼女を生きたまま絞め殺し、山奥の大木に吊るした。虫や蟻に喰われるがままに。

一週間後、青山光の名目上の夫である青山雅紀が、杖をつきながら変わり果てた姿の彼女を見つけ出し、その亡骸を抱きしめて絶望の叫びを上げた。

青山光はその時になってようやく、自分を最も愛してくれていたのは青山雅紀だったのだと気づいた。

彼女の魂は青山雅紀に付き従い、彼が自分を殺したあのクズ男女を、一太刀一太刀、凌遅刑に処す様を目の当たりにした。

その後、青山雅紀は清潔な服に着替え、青山光の遺体が安置されている氷室へとやって来た。

青山雅紀は青山光の隣に横たわり、愛情のこもった眼差しで彼女を見つめる。「光、君の仇は討ったよ。待っていてくれ、すぐに君のところへ行くから」

言葉が終わると、彼の顔には解放されたような笑みが浮かんだ。

青山光はその時初めて、男が自分の手首を切り裂いていたことに気づいた。鮮血は瞬く間にシーツを赤く染めていく。

まさか青山雅紀が自分のために殉じるとは思ってもみなかった。

心魂ともに打ち震える。

目の奥が熱くなり泣きたくなるが、魂に涙はない。

彼の手首を握って止血してあげたいのに、何もできない。ただ無力に叫ぶことしかできなかった。「青山雅紀、やめて! 早くお医者さんに診てもらって……」

朦朧とする意識の中、青山雅紀は青山光の姿を幻視したようだった。

彼の口角がさらに上がる。「光、君に殉じるよ」

「青山雅紀……」

青山光の胸が張り裂けんばかりの絶叫とともに、彼女は自身の魂が強い力でぐいっと引かれるのを感じた。

目眩が襲い、青山光は意識を失った。

……

「やめて」青山光ははっと目を覚ました。

額には冷や汗が滲み、体は氷のように冷たい。目を開けると、そこは見覚えがあるようで、どこか見慣れない光景だった。

自分は死んだのではなかったか?

ここはどこ?

周囲から聞こえてくる人の声が、青山光の思考を瞬時に引き戻した。

「やっとお目覚めですか。でなければ若様になんとお伝えすればよいか」

「光さん、目が覚めたのなら早く起きてください。若様がもうすぐお見えになります。若様のお世話はくれぐれも気をつけて。気難しい方で、誰彼構わず触られるのがお嫌いですから……」

「それからですね……」

耳元で数人の使用人たちが言い含める声を聞き、青山光はついに悟った。

自分は生まれ変わったのだ。

青山雅紀に嫁いだ、その当日に。

前世の青山光は、まさにこうして悪辣な継母に薬で眠らされ、荷物のように青山家に送り届けられたのだった。

青山家の長男、青山雅紀は三年前の交通事故で両足が不自由になり、体も日増しに弱っていく一方で、いつ死んでもおかしくない状態だった。

青山家の当主は占い師の言葉を信じ、わざわざ青山雅紀のために嫁を迎えて厄払いをしようとした。

ただ、これまでに見つけてきた五人は、皆青山雅紀の残忍さに怯えて逃げ出してしまった。

青山光は、六人目の花嫁として選ばれたのだ。

「青山雅紀は? まだ着かないの?」青山青山光は苛立ち、彼女たちの話を遮った。

体にはまだ安物の真っ赤な婚礼衣装を纏ったまま、ベッドからひらりと飛び降り、周囲に視線を巡らせる。

使用人たちは侮蔑の眼差しで何かを言いかけたが、その時、青山雅紀が現れた。

青山光は、車椅子に座るその冷ややかな男を一目で見つけた。

再び青山雅紀のあの端正な顔を見て、青山光の瞳は微かに震え、目元が瞬く間に赤くなった。

彼女は興奮した様子で青山雅紀の前へと歩み寄る。「青山雅紀」

青山光が近づくよりも早く、青山雅紀の氷のような一瞥が彼女の歩みを止めた。

青山雅紀の声は冷え切っていた。「帰っていい」

「帰らない」青山光は焦って青山雅紀に近づこうとする。「青山雅紀、私は帰らないわ」

前の人生で、彼女は青山雅紀が自分の人生を縛り付けていると憎み、そのためずっと隠し子である青山聡に協力して青山雅紀に対抗し、青山家の財産を争ってきた。

だが結局、自分はただの駒に過ぎなかったと知り、無残な死を遂げた。

生まれ変わったからには、青山光は青山聡と西村友紀に必ず代償を払わせると誓った。そして同時に、青山雅紀を守り抜くのだ、と。

たとえこの命を投げ打ってでも、青山聡の陰謀を絶対に成功させてはならない。

青山雅紀は冷ややかに安田光を一瞥した。「安田家に渡した金は、青山家は返してもらわん」

片足を棺桶に突っ込んでいるような病人に、進んで嫁ぎたい者などいるはずもない。

青山家の当主はいつも金で人を買い、安田家ももちろん例外ではなかった。

もっとも、その金は青山光の手に渡ることはなく、あの人でなしで腹黒い継母が懐に入れてしまったのだが。

青山光は腹を括り、ベッドの縁に腰掛けた。「帰らないわ。やれるもんなら、人を寄越して私を担いで放り出してみなさいよ。私は青山さんからお金を受け取ったんだから、約束通りあなたの面倒を見るわ」

何かを思いついたように、青山光は言葉を続ける。「あなたとの婚姻届はもう提出済みで、今こっちに送られてる途中よ。もし私を追い出すなら、あなたはクズ男よ。糟糠の妻を捨てる男だって」

「訴えてやるんだから。新婚初夜に私を抱いて捨てただなんて。青山家はこんなに大きいお家なんだから、そんな恥はかきたくないでしょう」

彼女は目の前の男を鋭く睨みつけた。「とにかく何と言われようと私は帰らない。今この時から、あなたは私の旦那様で、私たちは夫婦。私はここに残ってあなたの面倒を見るの」

周りの者たちは、青山光のこの無頼漢のような物言いに度肝を抜かれていた。

ただ青山雅紀だけが、冷たい眼差しで彼女を値踏みするように見つめている。

これまで送り込まれてきた五人の女たちは、彼を見るなり、自分の不運を嘆いて泣きわめくか、ここには残らないと騒ぎ立てるかのどちらかだった。

目の前のこの女は、二人が夫婦であるという事実を公然と認め、さらには帰りたがらず、自ら残してくれと懇願する初めての人間だった。

青山雅紀の深淵のような瞳に、仄暗い光がよぎる。

「理由を言え」彼は冷たく問いかけた。

青山光は考える間もなく答えた。「愛してるからよ。あなた、すごく格好いいじゃない。私のどストライクなの。一目惚れよ、あなたの美貌に欲情して愛しちゃったの。ダメ?」

「格好良くてお金持ちの旦那様がいるなんて、この取引は私にとって儲けしかないわ。だから帰らない」

彼女の言葉は、周囲からいくつもの侮蔑的な視線を集めた。

しかし青山光は意に介さず、笑みを浮かべて青山雅紀を見つめる。

青山雅紀は僅かに眉を顰めた。「愛だと? 信じるとでも? 仮にそうだとしても、俺はお前を愛さない」

「いいのよ、私があなたを愛してれば」青山光は胸を叩いて保証する。「信じてる。いつかあなたも、私のことを愛してくれるようになるって」

そう言うと、青山光は立ち上がり、青山雅紀の前へと進み出た。

彼女は屈みこんで男と視線を合わせる。「青山雅紀、これからは私がいる。私があなたの面倒を見るわ。一度チャンスをくれない? 私の誠意を見せてあげるから」

「どうせお金はもう受け取っちゃったんだし、私にはここに残ってあなたの世話をする義務があるの。私は絶対に離れない」青山光の口調は断固としていた。

彼女は青山雅紀に向かって言葉を続ける。「可哀想だと思って拾ってくれるだけでもいいの。私、青山家を出たら行くところがないんだもの。あの継母に青山家から返品されたなんて知られたら、きっと黙ってないわ」

「青山雅紀、私、育てるのは簡単よ。ご飯一口くれればいいから。あなたのそばに残って、お世話をさせてほしいの。いいかな?」

話しているうちに、青山光の目元は赤くなってきた。

彼女は力一杯自分の太ももをつねり、両目に涙をいっぱいに溜める。

青山雅紀は眉を顰めて彼女を見ていたが、その視線の端では、青山光がこっそりと行っている仕草にも気づいていた。

彼の眼差しは深みを増す。

しばらくして、青山雅紀はゆっくりと視線を逸らした。

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