第17章 彼女はまだとても悲しい

青山雅紀は、時間がこれほどゆっくりと、それでいてこれほど速く過ぎていくと感じたのは初めてだった。

しばらくして、青山光は気が済むまでキスをしたのか、ようやく彼を解放した。

彼女は心身ともにすっきりとし、考えれば考えるほど嬉しくなった。

一方、青山雅紀は顔をしかめ、その余韻に浸ろうとはしなかった。一度でも思い出してしまえば、身体が欲望を抑えきれなくなるのを恐れたのだ。

幸い、病院はすぐに着いた。

青山光は青山雅紀の再検査に付き添いたかったが、逆に青山雅紀に無理やり検査を受けるよう言いくるめられた。

自分は何ともないし、こんなかすり傷より、青山雅紀の検査の方をしっかり見届けたいのに、...

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