第282章 財産争奪戦

「よくもまあ、容態はどうだなどと聞けたものですね。ご家族はいったいどういうつもりで患者さんを見ていたんですか? あんなものを食べさせるなんて。あれは滋養強壮剤ですよ。今の患者さんの状態でそんなものを摂取させるなど、殺す気ですか。この件は警察に通報させていただきます」

名家における遺産目当ての殺人未遂など、決して珍しい話ではない。

医師は青山光にも厳しい視線を向けつつ、救命処置を続けながら警察へ通報を入れた。

青山光はその場に立ち尽くした。窓越しに見える安田大吉の体には、さらに多くの管が繋がれている。複雑極まりない心境に、眼縁が赤く染まった。

今回は、演技ではない。

正真正銘、赤くな...

ログインして続きを読む