第365章 薬物の研究者

 この精神をおかしくする薬のことは、前の人生でも耳にしたことがあった。

 しかも――前の人生では、結局どんな薬を使っても治ることはなかった。

 人はどんどん短気になっていき、自分の感情をコントロールできなくなる。

 こういう薬は、名門同士の足の引っ張り合いで、相手を陥れるためによく使われる。

 当時、この薬が世間に知られてニュースにまでなったのは、とある名門一族の私生児が、正妻の子にこっそり盛ったのがきっかけだった。

 その名門の本家の御曹司は、日を追うごとに苛立ちっぽくなり、最後には記者会見の場でマスコミに暴言を吐き、叩き出される騒ぎにまで発展した。

 青山光はびくりと肩を震わ...

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