第469章 謎の人物

部屋の中に、妙な静けさが落ちた。

しばらくのあいだ、誰も口を開かない。

やがて安田杏里が、沈んだ声を絞り出した。

「お前から見りゃ、俺なんてろくでもない男だろうな。ろくな父親でもなけりゃ、いい夫でもない。けど……本当に、どうしようもなかったんだよ」

何かを思い出しているのか、その目からは、とめどなく涙がこぼれ落ちていた。見ていられないほど惨めな姿だった。

青山光と青山雅紀は、顔を見合わせると、急かすこともせず黙ってその場に立ち尽くす。

どれくらい時間が経ったのか。

安田杏里の声が、再び病室に落ちた。

「昔な……お前の母さんと付き合い始めた頃、俺だって本気で惚れてたんだ」

「...

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