第479章 安田大吉がいなくなった

中山夫人は他のことなど構っていられず、慌てて部屋を飛び出した。

「先生、早く診てちょうだい! 息子の頭がおかしくなっちゃって」

外から聞こえてくるその声に、中山裕太は苦虫を噛み潰したような顔をした。

まさか実の母親から狂人扱いされるとは、思いもよらなかったのだ。

だが、人がいなくなるのは好都合でもある。

彼はすぐさまどこかへ電話をかけ、自分の現在地を確認した。都合のいいことに、ここから精神科病院までは車でほんの十数分という近さだった。

素晴らしい。

チャンスは目の前にあるのだ。

あっという間に二日が過ぎた。

周囲は嵐の前の静けさのように、何の動きもなかった。

その日、青山...

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