第520章 死に急ぐ

シュウシュウシュウ――

 病室の温度が、みるみるうちに下がっていく。

 看護師は思わず身を震わせ、周囲をぐるりと見回した。そして、車椅子に座る男の姿を見つける。

 彼がこの病院に勤め始めたのはつい最近、昨日配属されたばかりだ。だから目の前の男のことは知らない。ただ、関わらないほうがいい相手だと本能が告げていたので、無視してそのまま岡本馨に向き直る。

「何回言えば分かるんだよ。最初にお前がそいつを病院に運び込んだ時から言ってただろ。ここでのことは全部、俺に任せろって。なのにお前、俺を信用しないで、わざわざ別のツテなんか使いやがって……」

 口調はいっそう責める色を帯びていく。

「俺...

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