第521章 脅威

 二人は、じっと互いを見据えていた。

 岡本馨の瞳には、はっきりとした冷え冷えとした色が宿っている。濃く淀んだ憎しみが、今にも溢れ出しそうだった。

 それに比べて、向かいに立つ男性看護師の顔は、ひどく傷ついたような表情一色だ。事情を知らない者が見れば、被害者は彼のほうだと信じてしまうだろう。

 男は気落ちしたように二歩ほど後ずさりし、苛立たしげに頭をかいた。

「どうして助けてくれないんだよ。俺が一番苦しい時に、どうしてみんな知らん顔するんだ。ここまで追い込んだのはお前たちなんだぞ。俺が帰国した時、真っ先にお前に連絡して、組まないかって持ちかけたよな。なんで断ったんだよ」

 眠ったふ...

ログインして続きを読む