第533章 絶望の安田大吉

医者の怒りに満ちた後ろ姿を見送りながら、青山光は肩をすくめた。

「あなた、疲れたわ。もう帰りましょう」

病院に足を運んだのは、そうせざるを得なかったからだ。命を取り留めたと確認できた以上、死ななかったのなら帰って寝るに限る。

青山雅紀は淡々と「ああ」と応じ、青山光を抱き寄せてきびすを返した。

あっという間に、二人はその場を後にした。

安田大奥様は自分の目を疑った。青山光が自分の息子をひどく憎んでいることは知っていたが、まさか一片の情けも容赦もなく、あっさりと立ち去るとは思ってもみなかったのだ。

しかも、青山光だけではない。安田杏里もそれに続くように姿を消した。

安田大奥様は怒り...

ログインして続きを読む