第537章 価格

部屋の空気は、なんとも言えず不気味に歪んでいた。

青山光は、自分の迫力がまだ足りないとでも言いたげに、手にしたナイフをそのままテーブルへ突き立てた。

振り下ろされた腕。鋭い刃が木の天板にぐさりと刺さる。見ているだけで身がすくむ光景だった。

中山誠子の恐怖は、さらに色濃くなる。

仕方ないとも言えた。青山光が普通の人間なら、ここまで怯えることもないだろう。だが、相手は頭のネジが飛んだ女だ。次の瞬間、何をしでかすのか、誰にも読めない。

そんな中山誠子の怯えぶりを、青山光はむしろ満足げに眺めていた。

「――よし。それじゃ、そろそろ本題に入ろっか。あたしの態度はもうハッキリさせたよね。会社...

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