第551章 出国した弟

看護師は淡々とした口調のまま、その医者のほうへ視線を移した。

医者は小さくうなずくと、

「ええ、そのとおりです。このところ安田さんの状態はあまりよくありませんし、精神的な負担もかなり大きいようです。薬を変えて様子を見てみれば、少しは楽になって、あれこれ考え込まずに済むかもしれないと思いまして」

と言った。

「ほら、医者の先生がおっしゃっているんですよ。私はただの看護師ですから、勝手に患者さんの病室へ入ったりなんてしません。用がないなら、これで失礼しますね」

看護師はそう言い捨てて踵を返し、そのままスタスタと出て行った。

院長たちは顔を見合わせたが、誰も引き止めようとはしなかった。...

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