第100章

二ノ宮原子は部屋に戻ると、衛星電話を取り出した。弥香から届いていた無事を知らせる短いメッセージを確認した瞬間、胸の奥にのしかかっていた重石が、すとんと落ちる。

電話を枕の下へ滑り込ませた、その直後だった。

薄原川人が、いつの間にか部屋へ入ってきた。

二ノ宮原子の手元の動きを見て、薄原川人の視線が枕元へ落ちる。

『何を隠した?』

心臓が跳ね、二ノ宮原子は思わず振り向く。苛立ちが先に立って、睨むように言った。

『入ってくるなら、せめて音くらい立ててよ。なんで気配がないの?』

薄原川人は、笑っているのかいないのか分からない顔で彼女を見た。

『音を立てたら、お前の小細工が見えないだろ...

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