第102章

二ノ宮原子は手元の用事を慌ただしく片づけると、疲れの残る身体を引きずるようにして、適当なホテルにチェックインした。

シャワーを浴び、さあ寝ようとベッドに腰を下ろした瞬間、胸の奥がざわついた。

――おかしい。

部屋の空気が、急に重くなる。次いで、濃い煙がもわっと広がった。

同時に火災報知器がけたたましく鳴り、天井のスプリンクラーが反応して、雨みたいな水が勢いよく降ってくる。

原子は反射的にドアを開けた。

廊下には支配人がいて、隣室の客に頭を下げながら必死に説明している。

『誠に申し訳ございません。お客様の損害につきましては、必ず当ホテルが補償いたします』

支配人の身体に遮られて...

ログインして続きを読む