第106章

『卑怯? じゃあ見せてあげる。本物の卑怯ってやつを』

二ノ宮原子は取り乱し、薄原川人の腕に縋りついた。

『だ……だめ。そこ、すごく痛い』

薄原川人の動きが、ぴたりと止まる。次いで、喉の奥で低く笑った。

ポケットから軟膏のチューブを一本取り出し、掌に載せて原子に見せる。

それを目にした瞬間、二ノ宮原子は石みたいに固まった。

『お前のちっさい頭、いったい何を想像してたんだ?』

説明しようとしても、言葉が見つからない。

結局、薄原川人に脚を開かされ、少しずつ薬を塗られるままになった。

彼女の位置から見える薄原川人は、妙に丁寧で、真剣だった。

一瞬だけ――本当に一瞬だけ、胸の奥が...

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