第109章

「……わたし……」

二ノ宮原子は自分の太腿をぎゅっとつねり、意識を手放さないよう必死に踏ん張った。

「なんか、くらくらする……」

薄原川人は原子を横抱きにすると、そのままバーの外へ出た。冷たい夜風が頬を撫でた瞬間、原子の頭は少しだけ冴える。

けれど身体はふにゃりと力が抜けたまま、薄原川人の腕の中に収まっていた。

薄原川人は上着で風を遮りながら、ぼんやりした小さな顔を覗き込む。胸の奥に、熱いものがすっと流れ込んだ。

「起きたか」

原子が降りようとすると、薄原川人は拒まなかった。肩を貸し、二人で歩道をゆっくり辿る。やがて辿り着いたのは、小さな公園だった。

薄原川人はベンチに腰を下...

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