第114章

薄原川人は書斎にいた。正面のモニターから放たれる青白い光が、その横顔を冷たく縁取っている。

マウスに置いていた手を離し、眉間を指で押さえた。

――なぜだ。胸騒ぎが消えない。

そのとき、脇に置いたスマホが鳴った。

通話を取ると、林原淳の切羽詰まった声が飛び込んでくる。

『薄原様。こちらの人間から報告です。お嬢さんの後ろについて護衛していた者が、見失いました。お嬢さんは今、危険に巻き込まれている可能性が高いです』

薄原川人の目が、すっと暗くなる。

『人を預けたのは俺だ。……それで、このザマか?』

『薄原様……申し訳ありません。お嬢さんを見つけ次第、私が責任を取ります』

薄原川人...

ログインして続きを読む