第116章

林原淳が薄原家へ戻ってきたとき、顔にはいくつも裂けた傷が増えていた。

血はすでに乾き、黒ずんで張りついている。

『薄原様、人は確保しました。ただ……林原健太郎のあの老いぼれだけは逃げまして……』

林原淳は悔しさを噛み殺すように歯を食いしばった。

『薄原様、もう少しだけ時間をください。必ずあの老いぼれを引きずってでも、あなたの前に連れてきます』

薄原川人は濡れた髪をタオルで乱暴に拭った。

はだけた寝間着の胸元から、厚い胸板がのぞく。

『いい。必要ない。お前には、もっと大事な用がある』

薄原川人は煙草に火をつけ、唇の端に咥えた。

目の奥に、獣じみた凶気が宿る。

『林原健太郎は...

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