第120章

「お兄さん、私の玉佩がなくなっちゃった!」

本原東也がはっと顔を上げる。その瞬間、張りつめていた眼差しが、ふっと柔らいだ。

「薄原さん、お嬢さん。こちら、妹の本原順子です」

本原順子は小動物みたいに駆け寄り、そのまま本原東也の腕にぎゅっと絡みつく。

「お兄さん、この人は?」

順子は薄原川人を見た途端、頬を赤くした。

「薄原さんだ。隣のお嬢さんは……薄原さんの連れだよ」

「二ノ宮原子」

「二ノ宮さん」

本原順子の視線が、二ノ宮原子へ向いた途端、わずかに鋭さを帯びる。

一目で分かった。――この本原順子、薄原川人に惚れた。

「そうだ、お兄さん。私の玉佩がないの」

「玉佩が…...

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