第121章

本原東也の笑みが、ぴくりと引きつった。

『本原さん。二ノ宮さんは、父にとって本当に大切な方なんです。どうか、この機会をください。でないと父の耳に入ったとき……取り返しがつかないことになるかもしれません』

傍らの本原順子は、焦りで胸が焼けそうだった。

父が好きなのは、どう考えても自分だ。

それなのに本原東也は、どこからか得体の知れない女を連れてきて――本原家のお嬢様の座を奪わせるつもりだなんて。笑わせる。

二ノ宮原子が身の程を知って、自分から消えてくれないのなら。

こちらから消してやるだけ。

本原順子は口元をわずかに吊り上げると、身を翻して二階の部屋へ引いた。

二ノ宮原子はその...

ログインして続きを読む