第124章

薄原川人と二ノ宮原子は本原家にしばらく滞在したあと、車でその場を離れた。

走り出して間もなく、二ノ宮原子のスマホがピッ、と短く鳴る。

画面を開いた彼女は、そこに表示された差出人を見て、わずかに目を見開いた。

本原家の顧問弁護士からのメッセージだ。

文面を読み終えた瞬間、二ノ宮原子は固まった。

薄原川人は異変に気づき、路肩に寄せて車を停めると、助手席の彼女を見た。

「……どうした?」

二ノ宮原子は答えず、スマホを差し出した。指先が、かすかに震えている。

画面の内容を読んだ薄原川人も、思わず息を呑んだ。

本原宜克が、たった今――名義の大半の遺産を二ノ宮原子へ移した、と。

つま...

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