第14章

林原淳は「アフリカ」という言葉を聞いた瞬間、十二分に気を引き締めた。慌てて口をつぐみ、救急箱を二ノ宮原子の目の前へ差し出す。

二ノ宮原子は手にしていたサンドイッチの最後の一口を飲み込み、救急箱を見て目をぱちくりさせた。

薄原川人はすでに立ち上がっていて、彼女の前まで来ると、指先でテーブルをとん、と叩く。

原子が顔を上げると、そこには――笑っているようで、面白がっているようで。そんな視線があった。胸の奥がひやりと鳴る。

まずい。薄原川人は疑い始めてる。探りを入れてきた。

どうすれば、この場をやり過ごせる?

「ほら、やれよ?」

薄原川人はソファへ移り、どさりと腰を下ろした。

三、...

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