第20章

薄原川人に抱えられたまま、彼女はソファに座らされていた。

「救急箱」

大崎が素早く差し出す。薄原川人は自ら包帯を取り出し、二ノ宮原子の指先を消毒してから、きっちりと巻いた。

二ノ宮原子が思わず顔を上げると、薄原川人はわずかに俯き、まぶたを落としている。表情はひどく真剣で――その集中ぶりに、息が詰まりそうだった。

たった小さな切り傷なのに、丁寧すぎるほど綺麗に処置されている。

包帯が巻き終わり、原子が指を引っ込めようとした、その瞬間。

薄原川人が、ぐっと強く指をつねった。

「痛っ!」

二ノ宮原子の瞳に、一気に涙が浮かぶ。演技じゃない。本当に痛い。

――このクソ野郎!

さっき...

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