第27章

彼はまるで観客みたいに眺めていた。いま自ら盤上に降りてきたのも、物語を少しだけ面白くしたい――それだけだろう。

変態。

二ノ宮原子は心の中で、そう吐き捨てた。

けれど胸の奥にこびりついていた恐怖は、さっきよりいくらか撫でられている。

二ノ宮薫子は待ちきれないとばかりに、二ノ宮正樹へ矢継ぎ早に命じた。

「今すぐ、精神病院にビデオ通話して!」

二ノ宮正樹は一瞬ためらったが、結局は従う。

コールがつながり、院長と形式的な挨拶を交わしたあと、院長は病院の中庭へ移動した。カメラが向けられた先には、例の木の下にしゃがみ込む「二ノ宮原子」。

院長の声は不自然なほど優しく、親しげだった。

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