第33章

その言葉が思わず口をついて出た瞬間、二ノ宮薫子の全身に冷や汗が噴き出した。

――そうだ。薄原川人の意向だった。

頭では分かっている。分かっていても、胸の奥がむかむかする。

なんで自分が、二ノ宮原子なんて下賤な精神病の女に謝らなきゃいけない?

そもそも、自分が何をしたっていうの?

二ノ宮正樹は、薫子がいつまで経っても動かないのを見て、手を伸ばして軽く促した。

薫子は下唇を噛み、嫌々そうに言う。

「……ごめんなさい。さっきは、私が悪かったです」

二ノ宮原子は自分の耳を指でとんと叩いた。

「二ノ宮薫子さん、今なんて? 聞こえなかったんだけど」

薫子は薄原川人をちらりと見た。

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