第35章

「従順って、どういうこと?」

薄原川人は、そこでわずかに目を見開いた。

従順とは何か――そこまで具体的に考えたことは、たしかになかった。

「逃げようなんて考えず、俺のそばに大人しくいろ。それが従順ってことだ」

二ノ宮原子の目の奥を、ほんの一瞬だけ嘲りがかすめた。

彼女には彼女の考えがある。好き嫌いもある。手を伸ばしたい自由もある。

そんな自分が、ずっとこの男のそばにいるはずがない。

薄原川人も、ずいぶん甘く見たものだ。

けれど今は、15億ドルのために折れるしかない。

今はただ、一時的に。

先のことは、またそのとき考えればいい。

二ノ宮原子はこくりとうなずいた。

あまり...

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