第38章

大崎が別荘の掃除を始めた、その隙。

二ノ宮原子はまた同じ手を使った。

小さなぬいぐるみを自分の代わりにしてベッドへ寝かせ、眠っているふりをさせる。そうして梅苑を、音もなく抜け出した。

向かったのはA市のメインストリート。三本目の街灯のところで車を降りる。

壁に手を当て、数えて十歩ほど進んだところで、浮きかけたタイルを押し込んだ。

ぐらり、とタイルが沈む。

同時に、壁がわずかに開いて――隠し扉。

「いらっしゃいませ。暗門世界へようこそ。招待状はお持ちですか」

原子が取り出したのは、やけに凝った封筒だった。

スーツの男が封を切り、中身を確認する。次いで、同じく精巧なリストバンド...

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