第53章

彼女は身を起こし、閉ざされたドアを不安げに見つめた。薄原川人――さっきのあれは、いったい何だったのか。

翌朝。二ノ宮原子は早くに目を覚ましたが、見知らぬベッドの上だった。

室内は、昨夜の部屋より明らかに整っている。

寝ている間にベッドごと移されても気づかないほど、深く眠るはずがない。

――薄原川人が、薬を盛ったんだ。

目がすっと冷える。原子は部屋を出た。ちょうど階段を上がってきた大崎と鉢合わせる。

「二ノ宮さん、お目覚めですか。若様が……こちらのお部屋へ抱いてお運びになりまして」

原子は小さくうなずく。

「……彼は?」

大崎が一瞬きょとんとして、すぐに姿勢を正した。

「若...

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