第77章

「どうしたの?」

薄原川人の身体は熱い。二ノ宮原子がそっと額に触れた瞬間、ただごとじゃないと悟った。

「熱……出てる」

薄原川人は答えない。けれど、最後の力まで抜け落ちたみたいに、彼女の肩へずしりと体重を預けてきた。

原子は必死に身体をねじって彼の下から抜け出し、階下へ駆けて大崎を探す。

大崎はすでに薬を用意していて、それを原子に手渡した。

「二ノ宮さん、先生のこと……お願いいたします」

薄原川人が体調を崩すと、林原淳以外は近づけない。これまで何度熱を出しても、誰にも触れさせず、ひとりで耐えてきた。

だが今回は、その林原淳が出張で不在だ。大崎は腹をくくって、原子に託したのだろ...

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