第81章

「――私に死ねって言ったよね? いいよ。望みどおり死んであげる。けど、チャンスは一度きり。もし私が生きて戻ったら、次に死ぬのは――あなたの夫と娘、それから、あなた自身」

林原涼子は挑発されたように全身をびくりと震わせた。

「死ね!」

炎が天井まで跳ね上がり、部屋は一瞬で火に呑まれた。

林原涼子は警備員に守られながら足早に別荘を離れ、二ノ宮原子はひとり、隅の暗がりに腰を下ろした。

両腕で肩を抱き、顎を腕に乗せる。目尻から、涙がつうっと落ちた。

――結局、血のつながりなんて、この程度。

階下から、どん、と腹の底を揺らす爆発音。

二ノ宮原子は跳ね起きた。火はすでに別荘全体へ回ってい...

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