第88章

二ノ宮原子は逆手で匕首を奪い返すと、片手で腹を押さえたまま、もう片方の手でその刃を林原涼子の胸元へ――躊躇なく突き立てた。

ぶしゅっ、と血が噴き上がる。

鈴原そらの顔面にまで、赤い飛沫がべったりとかかった。

そらはその場から一歩も動けない。動けば、次は自分だと本能が告げていた。

林原涼子の身体は、ずるずると床へ滑り落ちる。倒れたまま痙攣し、口元から泡を吐きながら、それでも呪いの言葉だけは吐き続けた。

『二ノ宮原子……お前、ろくな死に方しない……!』

原子は匕首を放り捨てた。金属が床に当たって、からん、と乾いた音が響く。

腹の痛みが鋭すぎて、声が出ない。

――油断した。

それ...

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