第89章

二ノ宮原子の思考が、ぷつんと途切れた。

「……何を言ってるの?」

薄原川人は窓際に立ち、外を背にしている。

「病院の看護師が言ってた。お前は鈴原そらと一緒に廊下へ出て、そのあと二人でトイレに行ったそうじゃないか。逃走経路を打ち合わせて……一緒に実行した。そういうことだろ」

言い返そうとした瞬間、薄原川人の指が二ノ宮原子の顎を掴み、ぐい、と顔を持ち上げた。

「口を開く前に、よく考えろ。……その揃った白い歯、欠けたくなければな」

振りほどこうとしても、びくともしない。

手の力が、異常なほど強い。二ノ宮原子には抗えなかった。

「薄原川人。私と鈴原そらの関係、あなたが一番知ってるでし...

ログインして続きを読む