第92章

「――あなた!」

『どう? 驚いた? チップの中に盗聴器くらい仕込めるのよ、原子。あんた、甘すぎる』

二ノ宮原子は膝から力が抜け、そのまま薄原川人に受け止められて腕の中へ引き寄せられた。

『チップ除去の手術をしてくれた『友だち』……今どこにいると思う?』

原子は歯を食いしばり、両手で薄原川人の襟元を掴む。

「弥香に手を出したら……絶対に許さない」

その言葉に、薄原川人の瞳の奥で暗い光が走った。

ここまで取り乱した原子は、見たことがない。

弥香という女は――原子にとって相当大事な存在らしい。

なら、使える。

原子を縛る鎖として。

薄原川人は指先で、原子の耳元の後れ毛をそっ...

ログインして続きを読む