第93章

『狂ってる?』

薄原川人の顔色がさっと陰った。『お前は俺を、そういうふうに見てるのか?』

二ノ宮原子の視線が、あの指輪に落ちる。

綺麗だ。けれど、あまりにも高貴すぎる。――近寄ってはいけないものみたいに。

薄原川人は指輪を取り上げ、二ノ宮原子の右手をそっと取った。

二ノ宮原子の手は美しい。きめ細かな白い肌、均整の取れた指の節。まるでミルクに浸して磨いたみたいだ。

一瞬、ためらいが走る。

それを薄原川人は見逃さなかった。

薄原川人は何事もなかったかのように、指輪を彼女の指へ滑らせる。

店員が息を呑んで声を上げた。

『……すごくお似合いです! まるで二ノ宮様のために作られたみ...

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