第96章

二ノ宮原子は、彼の視線に気づくなり、慌てて胸元を押さえた。

『変態!』

『変態? お前が俺と一緒に会食に行きたいって言ったんだろ。なんで俺のほうが悪者になるんだよ』

二ノ宮原子は歯を食いしばり、羞恥と苛立ちで頬を熱くする。

……けれど、すぐに肩の力が抜けた。

どうせ、見られたことがないわけじゃない。見たいなら見ればいい。大したことじゃない。

『言ったこと、守ってよ!』

二ノ宮原子が手を離し、目を閉じた、その瞬間。

くす、と笑い声が落ちた。

薄原川人はずっと堪えていたらしく、笑うとやけに絵になる。目を奪われて、頭の芯がふわりと揺れた。

『ほら、着替えろ。林原淳が下でずっと待...

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