第100章

江原安美はシャワーを浴び、着替えを済ませて家に戻った。

稲子はソファで綿子と並んでテレビを見ていた。物音に気づくと、二人そろって顔を上げ、ぱたぱたと駆け寄ってくる。そのまま手を引かれてソファへ。画面を眺めながら、スナック菓子をつまむ――いつもの夜だ。

夕食を終えると、江原安美は稲子を寝かしつけた。小さな寝息が整ったのを確かめ、ひとり書斎へ戻る。机のライトだけを点け、デザイン画に向かった。

帰国する前から、国内のデザイン展に招待されていた。提出期限が迫り、ラフはほとんど仕上がっている。

最後の調整を終えた瞬間、口元がふっと緩む。自信があった。今回の展示で国内での知名度を広げ、今後のアト...

ログインして続きを読む