第103章

そのとき、ジャージ姿の男の子が駆け寄ってきて、稲子を指さしながら叫んだ。

『この子、ずるしてる! 稲子にはパパなんかいない! この人、絶対お金で雇ったんだ!』

その子は二位だった。

一位の景品だったゲーム機を手にできず、腹の虫が収まらないのだろう。

稲子の笑顔が、ぴたりと固まった。

追いかけてきた母親が、慌てて息子の腕を引く。

『やめなさい、そんなこと言わないの』

『言ってない!』男の子はむきになって食い下がる。『入学してからずっと、送り迎えはママだけだった! パパなんて一回も来てない! 急に出てきたんだから、雇ったに決まってる!』

川崎佑哉は稲子を肩から下ろし、腕の中に抱き...

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