第104章

伏木織子は信じられない思いで口にした。『……本当に、私に会うって?』

『はい、伏木さん。川崎様がご用件があると』

電話を切った瞬間、心臓がどくどくと暴れ出す。

川崎佑哉のほうから連絡してくるなんて――初めてだった。

織子は慌ててクローゼットへ駆け込み、棚をひっくり返す勢いで服を漁った。いちばん高かったワンピースを選び、メイクに二時間。香水まで重ねて、隙のない「完璧な私」を作り上げる。

鏡の前で何度も角度を変え、ようやく満足げに笑った。

待ち合わせ場所は、会員制のプライベートクラブだった。

扉を開けると、川崎佑哉がソファに座っている。テーブルの上には、湯気の立つ茶が一杯。

『佑...

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