第107章

江原安美の手が、ぴたりと止まった。『……何の話?』

『おまえに聞いたんだ。俺と、もう一度やり直さないかって』川崎佑哉は彼女を見据え、一語一語、噛みしめるように言う。『まだ返事をもらってない』

江原安美は数秒黙り、何事もなかったように薬を塗り続けた。『覚えてない』

『嘘だ』川崎佑哉が手を伸ばし、彼女の手首を掴む。『覚えてるくせに』

江原安美は振りほどこうとしたが、握力が強い。『川崎佑哉、離して』

『離さない』佑哉は譲らない目で言った。『先に答えろ』

『何に?』安美は顔を上げる。『私たちはもう終わった。やり直すなんて無理』

川崎佑哉の目が、頑なに揺れない。『分かってる。でも、過去の...

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