第134章

林原小春が釈放されたころには、空はすっかり暗くなっていた。

警察署の出入口に立ち、彼女は振り返って建物を睨む。脳裏に浮かんだのは、江原安美の顔だった。

――あのクズさえいなければ。

自分が警察沙汰になることなんて、なかった。

最初から、あいつの茶に毒でも入れて――そのまま死なせてしまえばよかったのに。

……惜しいことをした。

「江原安美……」

歯を食いしばり、名前を低く噛みしめる。唇の端が、憎悪で震えた。

本来なら、計画は完璧だった。

まず川崎佑哉に近づく。時間をかけて距離を詰め、気づけば彼の心を自分のものにする――そのはずだった。

なのに、始まる前から潰された。

川崎...

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