第135章

江原安美は、自分が思っていた以上にこの娘を大事にしていたらしい。なんと半月もの休みを取らせてくれたのだ。

――もし、いま自分が江原安美の娘をさらって、二度と会えないようにしてやったら。

江原安美は、きっと壊れる。

林原小春の脳裏に浮かぶのは、目を真っ赤にして泣き崩れ、娘を失って生気をなくし、花みたいにじわじわ枯れていく江原安美の姿。

想像しただけで、こらえきれずに空へ向かって笑い声が漏れた。

甲高い笑い声に、木陰に潜んでいた鳥がばさばさと飛び立つ。

林原小春は調理室へ戻ると、誰にも気づかれない隙を狙ってポケットから小さな紙包みを取り出した。金も手間もかけて手に入れた睡眠薬だ。

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