第144章

江原安美と川崎佑哉がF国に着いた翌日の夜――それが、例のオークションだった。

午後。

江原安美はカタログを取り出し、ぱらぱらとめくる。そこには希少な薬材がずらりと並び、どれも目が眩むような値が付いていた。

『ねえ、Y様ってこういうの……本当に競り落とすのかな。もし買わなかったら? そしたら私たち、会えないままじゃない?』

江原安美はページを指さしながら、川崎佑哉を見た。

川崎佑哉は彼女の隣で落ち着いたまま答える。

『確かなのは、今夜ここに必ず現れるってことだ。来さえすれば、こっちにも手はある』

江原安美は小さく頷いた。

夜。二人は時間通り会場へ向かった。

ホールは広く、客も...

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