第165章

江原の母は歩み寄って彼女の隣に腰を下ろすと、髪をそっと撫でた。『明日は稲子を連れて、川崎のおじいさんのところへ行ってあげなさい。あの歳になるとね、いちばんの望みは――自分の子や孫が、そばにいてくれることなんだよ。あなたも稲子も、ちゃんと孝行して、優しくしてあげるのよ』

江原安美は頷いた。『分かった、母さん』

翌朝早く、江原安美は稲子を連れて川崎の実家へ向かった。

二人がリビングに入ると、川崎のおじいさんがソファに座り、誰かと談笑しているところだった。

向かいに座っていたのは、若い女の子。

二十歳を少し過ぎたくらいで、長い髪を肩に流し、整った顔立ち。白いセーターを着ていて、全体の雰囲...

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