第170章

江原安美は顔を布団にうずめ、いっそ床に穴でもあったら潜り込みたい気分だった。

一方の川崎佑哉は顔色ひとつ変えず、むしろ小さく頷いてみせる。

『分かった』

看護師は逃げるように病室を出ていった。

川崎佑哉は、布団の下でもぞもぞと盛り上がる塊を見下ろし、指先で布団の端を軽く引く。

『出てこい。窒息するぞ』

『川崎佑哉のせいだよ……私、もう顔くそできない……』

布団の中から、くぐもった声が返ってくる。

川崎佑哉は吹き出した。

笑った瞬間、傷がずきりと痛み、彼は「っ」と短く息を吸う。

その気配を聞き取った江原安美は、慌てて布団から飛び出し、青ざめた顔で覗き込む。

『傷、引っ張っ...

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